新規事業には大きく分けて2通りあり、それぞれの企画・開発のアプローチはまったくと言っていいほど異なります。
1つは、既に世の中に存在する製品・サービスのカテゴリーに対し、クライアント企業が新規事業として挑戦するケースで、この場合のアプローチは「競争戦略アプローチ」と呼ばれます。分析手法的にはかなり成熟しており、弊社が「選ばれる理由」と呼ぶロジックを明らかにすることがプロジェクトの中核です。
もう一つは、それまで世の中に存在しない製品・サービスのカテゴリーを確立しようと挑戦するケースで、この場合のアプローチは弊社では「ホワイトスペース・アプローチ」と呼んでいます。分析手法的にも未確立な部分があり、弊社でも状況によって使い分けています。一番のポイントは「本当にそんなニーズがあるのか」を突き止めることです。
でも2つのアプローチに共通する態度があります。それは、「すべての検討結果は仮説に過ぎず、何段階かの検証を経てブラッシュアップし、その確度を高めてから実行に移すべき」というものです。
弊社と一緒にプロジェクトを経験された方々はこの点をよく理解されていると思います。私が何度もしつこくこの考えを繰り返し、プロジェクト途中で実際に検証のプロセスを入れることで何度か修正を余儀なくされたこともあるかと思います。
世の中的には「スピード重視」の言い訳の下、「やってみなきゃ分からない」とばかり、やわいままの仮説をいきなり実施展開することを許す風潮が強くなっていますが、それは間違っています。
仮説の構築と検証を短いサイクルで繰り返すことで「スピード(=納期)」と「確度(=品質)」を高い水準で両立させることこそ、プロの仕事だと思います。