お客様の期待を超えるための意識改革とは?

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The Ownerという経営者向けウェブメディアの『経営者のお悩み相談所』というコーナーで執筆した、第30回(私にとっては13個目)の記事をご紹介します。題して『お客様の期待を超えるための意識改革にはどうすべきか?』です。

今回の経営者からの質問は『システム会社ですが、お客様の要望を受け、開発するのが仕事です。お客様の期待通りに対応することが基本で、中小企業であり、限られた予算であることから、失敗を恐れることが多く、なかなか期待を上回ることができません。期待を超えるため、まずは意識づけが大切と感じておりますが、意識改革のためのアドバイスがあればご教示ください』というものです。

(ここから記事の中身です)

私(回答者)は仕事柄、システム会社の方々とお付き合いさせていただくことが多いのですが、実は企業規模が大手か中小かにかかわらず、大概のシステム会社の経営者や上級幹部の人たちが似たような悩みを持たれています。それだけ多くのシステム会社に共通する課題だと云えます。

意識改革のためどうすべきかを考える前に、まずは「なかなか期待を上回ることができ」ないのはなぜなのか、そしてシステム会社が「期待を上回る」とはどういうことなのかを考えることから始めましょうか。

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期待を上回ることができないのはなぜか

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質問者はその理由を「中小企業であり、限られた予算であることから」と断定しておられますが、それは真実の一面でしかないのではないでしょうか。

仰りたいことは多分、「ウチは中小企業なので特に技術的な優位性などがある訳ではない」⇒「したがって他の同業者にいつ差し替えられてもおかしくない」⇒「だから価格交渉力が弱く、発注されてもぎりぎりの予算しか獲得できないケースが大半だ」⇒「開発予算がぎりぎりなので、思い切った提案をして開発した結果、うまく行かなかったら予算オーバーになってしまうと考えがちになる」⇒「ゆえに失敗を恐れて保守的な姿勢になって、確実にできることしか提案をしない」⇒「その結果、お客様の期待を上回ることができない」というロジックのつながりを想定されていますよね。

大半の部分はその通りかも知れませんが、先に予算が決まっていてその(開発アプローチなどの)実施方法を後から提案するというパターンばかりではなく、実際には実施方法の提案内容によって発注主から獲得できる予算が変わってくるパターンもあるかと思います。前者のパターンは下請け・孫請けの場合に多く、提案によって開発のアプローチや内容を工夫する余地があまりないことが現実です。

仮に貴社においてこのパターンが商売の圧倒的割合を占めるようなら、「中小企業であり、限られた予算であること」が理由ではなく、本当は「下請け・孫請けの仕事ばかりであり、提案余地が元々ない」ことが主たる要因と考えられます。もしそれが事実なら、部下に対し意識改革を求める前に、下請け・孫請け体質から抜け出すべく最終需要家に対するアプローチ策を練るのが最も重要かつ効果的です。これは経営者の仕事ですね。

仮に貴社の事業において下請け・孫請けの割合がそれほど多くなく、最終需要家との直接取引が多くを占めるとしたら、社員の人たちは単に失敗を恐れて保守的な姿勢になっている可能性が確かにあります。しかしその場合でも、その保守的な姿勢にはもう一つ別の大きな主要因があると考えられます。それは経営者のマインドセット(考え方)がそのまま社員の人たちに伝わっていて仕事へのアプローチが偏っているためです。どういうことでしょうか。

(以下、記事に続く。無料会員の登録をしてあげてください)